ちゃんと悩んで生きる

――アイドルとして求められる理想像と内心のギャップに、堂本自身も過去に苦しんだ時期がある。

堂本:僕自身は30歳ぐらいから、自分を生きることの大切さとか意味について、ちゃんと悩もうと思って生きてきました。自分が愛せる、自分を生きることが、どれだけ大変で大切なことかっていうのをずっと悩んできたから、今日、生きていられると思っています。人が自分に抱くイメージには、色々あると思うんですけど、僕は僕として生まれてきたので、全てを受け入れることなんて到底できなくて。全てを受け入れるということは、きっと毎日違う人にならなきゃいけない。それで好きと言われても苦しいし、嫌いと言われても苦しい。だったら素直に自分の人生を生きたほうがいいと。その果てに嫌いだと言われたほうが納得できる。そう思って、30歳ぐらいから生きています。

譜面は「ただあるだけ」

――劇中で、沢田が何度も描く〇(まる)は、「調和」でありながら「檻」のメタファーでもあると感じた。円の中からはみ出すことに、堂本自身は戸惑いや恐れはないのか。

堂本:怖いというより、「もったいないな」って僕は思っちゃう。社会や会社のルールだったりシステムだったりというのは必要で、「その中にいたほうが安心できる」っていう人がいることは、もちろん理解できるんですけどね。ただ、それと同じくらい、自分らしく生きる権利も大切だと僕は思っているから。また音楽の話になっちゃいますけど、もし譜面というものがルールなのであれば、それは僕にとって「ただあるだけ」なんですよ。その通りに弾くことが目的にはならないんです。ドラムの人、ベースの人、ギターの人と、皆、同じルールで演奏していますけど、毎回違って聴こえるから面白いし、飽きません。だから確かに僕のバンドではあるんだけど、バンドメンバーが僕の言うがままになる瞬間なんてゼロです(笑)。僕も言うがままになることはないし。何か意見が違うときがあっても、平和的に話し合って終わるだけなので。こういう個を潰さない空間が、もっと社会にもあればいいなっていうことは、バンド活動を通して投げかけていますね。

――堂本が、クリエイティブプロジェクト「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」を始動したのは2005年。それから19年にわたって、ファンクというジャンルを軸に音楽を作り続けてきた。ポップミュージックではなく、なぜファンクだったのか。

堂本:それは本当に、もっとメジャーな曲を作ったほうがウケはいいんだろうなというのは、めちゃくちゃ理解してます。でもだからこそ、あんまり興味がないんですね。ものづくりにはいろんなものが必要だけど、音楽をやりたいという想いだけです。

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