単独主演映画「まる」は、10月18日から全国公開予定。堂本は主演だけでなく、「.ENDRECHERI./堂本剛」として映画音楽も担当した[撮影:蜷川実花/hair & make up 木内真奈美/styling 渡邊奈央(Creative GUILD)/costume Aphlotus kujaku meagratia]
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 堂本剛さんが27年ぶりの単独主演となる映画「まる」が今月公開される。あたかも自身の過去を追体験するような物語に、どのように向き合ったのだろうか。AERA 2024年10月14日号より。

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――映画の単独主演は27年ぶりだ。出演を決めるにあたり、監督の荻上直子からは、約2年前から熱いオファーを受けたという。

堂本剛(以下、堂本):荻上監督からは、「ぜひ堂本さんと作品をつくりたいです」と、ずっとおっしゃっていただいていたんです。その強い想いに応えたいと思ったのが、出演の決め手ですね。「剛さんを反映した人物像や物語にしたいから」と言ってくださって、脚本を執筆されるときも、僕が書いた「街」という曲をずっと聴いてくださっているとお話してくれました。やっぱり「一緒にものづくりをしたい!」っていう熱い気持ちを持ってる方と、仕事をしたくなるのがアーティストですから。荻上監督も、監督だけど一人のアーティストでもある方だから、「このアーティストさんとのセッションは面白そうだな」って思わせてくださったことが大きいですね。

間の取り方を意識して

――堂本が演じる沢田は、人気現代美術家のベテランアシスタントだが、すでに作家として独立する気力を失っており、言われたことを淡々とこなす日常を送っている。感情を激しく吐露する人物ではないだけに、沈黙や静けさのバリエーションの豊かさが印象に残った。

堂本:現場では、本番の直前に荻上監督とミーティングしてから芝居に入るということを繰り返していました。荻上監督は、おそらく“間”をすごく大切にされる方なんですね。僕も音楽を作るときに、間の取り方はかなり意識していて、めちゃくちゃクリエイティブな作業なんですよ。歌詞だったりメロディーだったりも確かに重要なんだけど、間は、作品の方向性や独自性みたいなものを強める強烈なスパイスだと思っています。

 今回は、「.ENDRECHERI./堂本剛」として劇伴も担当させてもらったんですけど、その部分は音楽にもかなり影響していますね。僕が想像してた劇伴って、いわゆる起承転結がはっきりしてる音楽。でも、そのようなシンプルな話じゃなかった。それだと荻上監督の独特の間が壊れてしまうんですよ。だからもう、めちゃくちゃ苦労しました。「このシーンは何もないほうが気持ちいいから、音はいらないんじゃないですかね」って自分から言うこともありましたから。ただ監督からは「このシーンとこのシーンは、音が想像できるからほしいです」っていう感じでお返事をいただいたので、そこに合う音を自分なりに作っていきました。

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