3年生の学年主任の三澤志緒里さんはさらにこう付け加える。

「成績処理もものすごく時短になりました。これまでは各担任がそれぞれの教科を教えているので、他クラスの先生と評価基準をどこに置くかのすり合わせが必要で多忙でした。今は学年の評価ラインを自分で決められるのでだいぶ楽になりました」

子どもからも好評

 メリットは教員に対してだけではない。

「子どもたちからも授業内容がわかりやすいと好評なんです。同じ授業を3クラス分3回繰り返すため、授業がうまくなるからです。いろんな先生と触れ合うことで子どもたちの気分転換も図れる。教員、子どもたちの両方ウィンウィンの手ごたえを感じています」(山口校長)

 勤務時間の面で業務改善になっている一方で、懸念点もある。

「小学校の教員は基本的には全教科を教えられるという前提がありますが、分担することによって教えていない教科の指導力が伸びないのが心配だという声はあります」(同)

 そのため、同校では翌年度は別教科を担当するようにするなど工夫を凝らす。それだけ享受するメリットは多い。教員同士が連携する機会は自然と増え、一人で抱え込んでしまうということも起きづらい。若手教員にとっても働きやすい環境が目指せる。面談や保護者懇談会などもチームで行うことで、子どもと教員の相性問題の解消、学年全体での改善案や反省点の共有が図れている。取材時、チーム担任制ならではの場面があった。帰りの会で、三澤さんが他クラスでの出来事を共有していた。

「昼休みを担当したクラスから、掃除の時間を円滑に進めるためのアイデアが出たので、帰りの会を担当したクラスでも提案しました。これも大きな利点です」

 山口校長は言う。

「チーム担任制はまだ試行錯誤の最中ですが、子どもたちが安心して学ぶには、教員の働きやすさも大事です。トップダウンではなくボトムアップの、現場から積極的に意見が言えてトライできる環境づくりを目指すべきと考えています」

 ある保護者はこう話す。

「数年前、担任の先生が病欠や産休で急に不在になり、自習が続く時期もありました。チーム担任制であれば急に担任が“ゼロ”になることはありません。子どもは複数の先生と信頼関係を築けますし、安心して学校に通わせることができます」

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学校援助職が常勤