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 長い人生、とてつもなく忙しい時期もある。全てを一人でやってしまいたい時もある。世界中で5000万人以上のフォロワーを持つオンラインコミュニティのCEOは、そんな時こそ「優先順位リスト」を作り、何かを手放すことが大事だと明言している。人に頼ることで得られるものの大きさを『COMFORT ZONE』(朝日新聞出版)から一部抜粋・再編集して紹介する。

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気軽に降参し、手綱を手放す

 物事がとんでもない勢いで人生になだれ込んでくると、「コントロールが利かなくなる」と不安になる。

 人生のあれやこれやが、自分の手に負えなくなるのではないか、と。注文したすべてのものを受け入れようと人生が拡大し始めると、目を向けなくてはならない新しい多くの事柄に、圧倒されそうになる。
 

 私にも、同じことが起こった。コンフォート・ゾーンで意図的に創造する方法をまだ知らなかった頃に、情熱を持てば楽々と創造できるフェーズに入ってしまったのだ。

 未熟で経験不足だから、どんどん増していく勢いにどう対処すればいいのかわからず、すっかり圧倒されてしまった。成功を重ねても、楽しむどころか重圧で押しつぶされそうになって、そのうち燃え尽きて動けなくなり、精神的にボロボロになった。

 いっそドアを閉めて、新しいものは何も入れず、やるべきことを淡々とこなしたい、と思ったり、訪れたすべてのチャンスがありがたくて、1つも逃したくない、と考えたりした。
 

 この状況で一番役に立ったのは、手綱を手放したこと。

 人生がスピードアップすると、人はつい神経を尖らせる。

 人間の本能は、「もっとコントロールしたい」というものだから。

 でも、しがみつこうとすればするほど、人はさらに頑なに、融通がきかなくなる。そして、その頑なさが、心を緊張させ、抵抗を生み出してしまう。
 

 雪山をスキーで滑り降りるところを想像してみよう。スピードが出てきたら、コントロールしようとせず、勢いに身を任せることが大切だ。緊張して、膝を伸ばしたままでいたら、大けがをするだろう。実際、スピードが出れば出るほど、雪山に降参し、自分のスキルや能力を信じ、道具を信じ、ゲレンデで出会うほかのスキーヤーを信じることが大切になる。

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