ダーバンの展示ブース。南アからの出展は、9つある州ごとに代表ブースを構え、さらにその周辺で各州からのブースが点在するという構成。数も質も、圧倒的だ。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)
ダーバンの展示ブース。南アからの出展は、9つある州ごとに代表ブースを構え、さらにその周辺で各州からのブースが点在するという構成。数も質も、圧倒的だ。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)
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左の女性が、ヨハネスブルク市広報PRマネージャのローラ氏。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)
左の女性が、ヨハネスブルク市広報PRマネージャのローラ氏。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)
RETOSA(南部アフリカ地域観光機構)。共同出展者どうしで助け合いながら運営していた。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)
RETOSA(南部アフリカ地域観光機構)。共同出展者どうしで助け合いながら運営していた。(ダーバンICC・南アフリカ 2016年/Durban ICC,South Africa 2016)

 広大なアフリカ大陸のうち25カ国を訪ねてきた、フリーランスライターで武蔵大学非常勤講師の岩崎有一さんが、なかなか伝えられることのないアフリカ諸国のなにげない日常と、アフリカの人々の声を、写真とともに綴ります。

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 南アフリカ共和国で開催された、アフリカ最大規模の観光見本市に参加した岩崎さん。会場で目にしたのは、アフリカを大陸ベースで標榜(ひょうぼう)するには、大きく南アフリカに偏った現状でした。では、「共倒れにならない」がために広く門を開き始めたこのINDABAに、がっかりしたかといえば全くそんなことはなく、むしろ、その逆だったといいます。

※前編からつづく

*  *  *

 確かに数は少なかったが、他国からの出展者の声に耳を傾ければ、共生の相乗効果へのヒントがいくつもみられた。例えば、モザンビーク。観光地としてモザンビークを見たことはなかったと話した私に、モザンビーク観光協会のマムデ氏はこう答えた。

「わかります。確かに、観光地としては知られていませんよね。実はモザンビークは、ビーチと美しい山並みとワイルドライフが近接しているため、すべて同時に楽しめる国なんです。南アとも国境を接しているので近いですし」

 南ア観光に関心を持った人にモザンビーク観光の魅力を促すことは、モザンビーク単独でアピールを続けるよりも、簡単で効果的なはずだ。これは、共同開催の分かりやすい効果のひとつと言えよう。

 SADC域内の観光を促進するために作られたRETOSA(南部アフリカ地域観光機構)は、金銭的な問題解決の可能性をみせてくれた。ナミビアやボツワナといった以前から多くの観光客を要してきた国々でさえも、1企業として出展するのは金銭的な負担が大きい。そこでRETOSAは共同ブースを設置し、ナミビア、ボツワナ、モザンビーク、コンゴ民主共和国といった国々はそこに出展をしているのだ。それぞれのブースはこぢんまりとしたもので、他のブースと比べればやや寂しげではあったが、話しかければ揚々と自国における観光の魅力をそれぞれに語ってくれた。南アから遠く離れたECOWAS(西アフリカ経済共同体)加盟国やEAC(東アフリカ共同体)でも、同じ手法を試みる価値があるように感じた。

 コンゴ民主共和国からは、首都キンシャサが単独で出展していた。ザイールからコンゴ民主共和国へと国名を変更した後も、長く内紛と混乱が続いた現在のコンゴ民主共和国に、私は観光地としてのイメージを持てずにいた。

「今までは悪い話ばかりでした。もう今は、何も問題ありません。危ないこともない。幸せしかありません。5年前から観光業が復活してきました。ビジネスも好調です。かつて週に一便だった南アからの飛行機は、日に一便にまで増えました」(当ブース代表のセルジュ・マトンド氏)

 コンゴ民主共和国の全域が危なくないとはにわかに信じがたいが、キンシャサは落ち着いているのだろう。国を前面に出しにくくとも、都市を前面に出した観光誘致は、マリのバマコなど、自国内に不安定な地域を抱える国々の都市においても参考になりそうだ。

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