元NHKアナでタレントの武内陶子さん
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 みなさま初めまして! 元NHKアナウンサー武内陶子です。このたびAERA dot.で連載を始めました。いやね、これまでなにしろガッツリ公共放送NHKのアナウンサーでしたので、ネットで連載などということはまずやったことがなかったわけです。さてどうなることやらと思っておりますが、おずおずと始めさせていただきます。

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 私、昨年9月末にNHKを早期退職し(でも、一応定年退職なのよ)、これからの私を「武内陶子第2章」と名付けて活動しております。私がNHKを早期退職したということは内外の方たち含めてみなさんとても意外だったらしく、どこに行っても「どうして辞めたんですか?」とか「これから何をやりたいんですか?」とか、はては、「辞めると思っていなかったからショックです!」とかいろんな反響をいただきました。

 なぜ辞めたのか。それはね、組織にいる時期はもう終わったなと感じたから。ふと気づくと私の前にはもう誰もいなくて、振り返ればたくさんの後輩たちがしっかり育っていたのです。ああ、もう君たちに任せてもいいか?……いいな!と。組織を維持するためには若い人を育てなくてはならないから、年長者はだんだんと管理職や若者を育てるほうにシフトしていくんです。でもね、それとは反比例して、私にはまだ「伝える人として」はどんどん充実していく実感が半端なくあったんです。だからこそ、ああ、出るなら今だなと。いばらの道を選びました(笑)。だって、サラリーマンとして毎月きちんとお給料をもらうというのはかなり重要なことですから。フリーになったらそれがなくなるわけですから、それは不安です。フリーになったらみんな稼げると思ったら大間違いですから! でも、今、だったんです。

 ところで、退職するとこれからの人生、いろんな言い方があるじゃないですか。「セカンドステージ」とか「第二の人生」とか。でもセカンドステージ、第二の人生っていうと、私はなんとなく歳取った気分になっちゃうというか、老後感が漂う気がしてしまって今の私にはしっくりこなかったのです(注:あくまで個人の感想です)。一方、「第2章」っていうと、いい区切りではあるけれど終わってはいなくて、そこからまた新たな章がぱーっと開けていくという、なんなら「第3章」も「第4章」もあるのかな?的な、なにか希望に満ちた感じがするじゃありませんか。どう? あんまり感じない? そういう方はそれでよし。とにかく私にとっては、セカンドステージや第二の人生ではなく、「第2章」であることが重要なので、私はこのスタイルで新たな自分の生き方を探っていくことにした次第であります。

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武内陶子

武内陶子

●たけうち・とうこ/1965年、愛媛県出身。神戸女学院大を卒業後、91年NHK入局。松山、大阪を経て東京勤務。「おはよう日本」キャスターや、「スタジオパークからこんにちは」司会などを務める。また、2003年には、「第54回紅白歌合戦」総合司会を務めた。23年9月、NHKを早期退職し、サンミュージックプロダクションに所属。夫は文化人類学者で東海学園大特命副学長の上田紀行氏。

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