AERA 2024年10月7日号より

通院時間の捻出も悩み

 更年期を機に自分に向き合い、新しい道へ踏み出した人もいる。

 小学校教諭だった赤塚直子さん(51)は44歳頃からほてりやホットフラッシュ、頻尿やイライラ、気分の落ち込みなどの症状に悩まされた。

 昔から月経前症候群(PMS)がきつかったが「2~3日で治まるものだから」と病院には行かずやり過ごしてきた。でもこの頃には「自分のコントロールが利かない」と感じるほどに。後輩教諭を必要以上に叱責してしまい、家に帰ると落ち込んだ。産婦人科に通院するようになったが、周囲には隠していたため、通院時間を捻出するのもストレスだったという。

 あまりにもひどい気分のアップダウンをなんとかしたくて、認知行動療法などを学び始めた。冷静に自分の感情と向き合えるようになることで気持ちが楽になったという。

 コロナ禍に教頭を務め、「24時間態勢」の忙しさを経験した。更年期を抜け出して元気になり、この先の人生を考えて「自分の人生を自分で選択しよう」と今年3月に退職。教育コンサルタントとして歩み始めた。「管理職の孤独と、更年期の体調管理がダブルでくると本当につらい。私の経験を伝えていきたいと思っています」

「今は、更年期は成長の一段階なのだと捉えている。子どもが成長するように、我々も『老い』に向かって成長している。これから更年期を迎える人には『自然なことなので大丈夫だよ』と伝えたいです」

(フリーランス記者・山本奈朱香)

AERA 2024年10月7日号より抜粋

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