「育てる監督」だった野村克也氏

高津監督は「勝たせる監督」か

 高津監督はどうだろうか。

 民放テレビ関係者は「長岡秀樹を我慢強く起用してレギュラーにしましたが、育成より既存の戦力をやりくりして勝つのが巧い監督だと思います。コマがいないと当然苦しい戦いになる。来年オフに村上宗隆がポスティング・システムでメジャー挑戦する可能性が高く、山田も全盛期より力が落ちて近年は下り坂です。投手陣も先発陣の軸として計算できる投手が不足しており、ファームで有望な若手が少ない。チーム再建はいばらの道で、暗黒時代に突入する恐れがあります」と警鐘を鳴らす。

 ただ、高津監督には成功体験がある。19、20年と2年連続最下位に低迷したが、21年にリーグ優勝、日本一に。オスナ、サンタナ、サイスニードと新外国人選手が活躍し、開幕前に巨人からトレードで獲得した田口麗斗が救援で奮闘した。戦力を生かす手腕には定評があるだけに、今オフ、助っ人の獲得やトレード、FAを含めてどのような補強ができるかが、来季の巻き返しのカギになるだろう。

 他球団の編成担当は「ヤクルトは不思議なチームなんですよ。毎年優勝争いをするわけではないけど、優勝争いに絡んだ時は必ず頂点にいく。巨人、阪神を圧倒するなどツボにはまったら恐ろしく強い」と語る。

 今季はまだ終わっていない。高津監督は選手たちの動きに鋭い視線を送る。来季に向けての戦いに頭を張り巡らしていることは間違いない。

(今川秀悟)

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