美輪明宏さん(撮影/御堂義乘)

 中学を卒業し、音楽を勉強するために上京して国立音大付属高校に進学しますが、実家が破産して授業料が払えず中退しました。16歳にして、新宿で半ばホームレスのような生活をしながら米軍キャンプを回って歌ったり、キャバレーでドアボーイをしたりしてしのいでいました。

 ちょうどそのころ、銀座のキャバレー「(ぎん)巴里(パリ)」が開店し、そのステージに立つという幸運に恵まれ、人気バンドの専属歌手となりました。私が作詞、作曲した「ヨイトマケの唄」がヒットしたのは30歳のとき。以来、テレビや舞台など活躍の場をいただくようになったのです。

 広大無辺の宇宙の中で、物事は全てプラスとマイナス、陰と陽、正と負、虚と実、上と下、長と短、表と裏など、相反する二つの要素で成り立っているのです。私の人生もまさに「正と負」を繰り返しながら70年もの芸能生活を続けているのです。

「ルンルン」と唱えれば気持ちが軽くなる

「つらい出来事の後には、必ずうれしいことが訪れる」

 そう頭では理解していても、厳しい渦中にあればポジティブに考えるのは、そう簡単ではありません。そんな憂鬱な気持ち、心にのしかかる重りを少しでも軽くしてくれるのが「ルンルン」という言葉です。

 心がうきうきと弾んだ状態を「ルンルン気分」と言ったりしますよね。今ではあまり使われないかもしれませんが、幼い子どもたちが遊びに夢中になったり、どこかにお出かけしたりするとき、「ルンルン」と鼻歌を歌ったりしていました。「ルンルン」という言葉の響きは、それだけでなんとなく楽しげですし、言葉に出すとうきうきした気持ちになったりします。

 ご家庭でつらい出来事があったり、嫌なニュースを見たり、人間関係で不愉快なことがあったとき、あるいはご自身の健康不安もあって憂鬱な気持ちになったとき、「ルンルン」と何度か口ずさんでみると、きっと少し心が軽くなるはずです。

 声に出して言うのは、少し恥ずかしいと思うかもしれません。そんなときは、「ルンルン」と心の中で何度か唱えるだけでもいいです。あるいは、普段からお気に入りのメロディーに乗せて口ずさんでみるのもおすすめです。不思議とほほ笑みが湧いてくるのです。

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