巨人の大城卓三

中日のFA獲得は17年以来なし

 今季の中日は木下拓哉、宇佐見真吾、加藤匠馬が主に先発マスクをかぶっていた。それぞれ特徴が異なるが、主戦捕手としては物足りなく感じる。昨年38年ぶりの日本一に輝いた阪神で「陰のMVP」と評された坂本は、推定年俸7000万円と格安でCランクのため人的補償がかからない。大城は推定年俸1億3000万円。気になるのは捕手へのこだわりだ。原辰徳前監督が指揮をとっていた時は正捕手として活躍していたが、阿部慎之助監督が就任した今季は岸田行倫がチームトップの71試合で先発マスクをかぶり、大城は一塁で出場する機会が多い。捕手での先発出場は岸田、小林に次ぐ31試合と激減。本職の捕手で出場できる環境を求め、FA権を行使する可能性は考えられる。

 中日がFAで獲得した選手は、17年オフの大野奨太(現中日2軍バッテリーコーチ)までさかのぼる。その以前は、07年オフに西武からFA補強した和田一浩(現中日1軍打撃コーチ)が、落合博満監督の下で10、11年のリーグ連覇に貢献した成功例もある。

 中・長期的にチームを強化するためには生え抜きを育てなければいけないが、FA補強はポジションが重なる選手が出場機会を失うことになる。必ずしもプラスになるとは言えない諸刃の剣だが、即効性のある補強としては有効な選択肢だ。

 シーズンで低迷した球団が、チーム再建に向けて今オフのFA市場に参戦するか、注目される。

(今川秀悟)

暮らしとモノ班 for promotion
「昭和レトロ」に続いて熱視線!「平成レトロ」ってなに?「昭和レトロ」との違いは?