ひとには、名前がある。当たり前のことだ。しかし、そのあまりにも当たり前に感じる「名前」にも、親の思いが込められた名前、一族に代々伝わる名前、地域や民族独自の法則が込められた名前など、いろいろある。なぜその名付け方なのか、国や文化、時代を飛び越えて、名前にまつわる不思議や謎、そもそも「名前」って何なのか。あらためて考えると、様々な知りたいことが浮かんでくる。
『岩波 世界人名大辞典』を発行する岩波書店辞典編集部、いわば名前のエキスパートが編纂した、世界じゅうの名前にまつわるエッセイの数々。
古代文明の時代から、現代のキラキラネームの時代まで。世界各国各地域、人類の歩みとともに広がってきた、名前という広大すぎる海へのガイドブックのようにも感じられた。
※週刊朝日 2016年5月6日―13日合併号