――市井さんと同じ悩みを抱えた親御さんは少なくないと思います

 そうなんです。この経験は私だけではないと思います。行政や民間事業で子育てを支援する体制が進んでいますが、まだ十分とは言えません。私は母が助けてくれましたが、実家と離れて住んでいる方は子育てに大きな負荷が掛かります。我慢していることを我慢と思っていないお母さんが多いのが現実です。私は船橋(千葉県)の公団団地で育って、母が働いているときも近所の家でおやつを食べさせてもらうなど、周りに助けられた環境で育ちました。今は安全面の観点から団地のようなコミュニティーを作るのが難しくなっています。子育てを社会全体で考えたとき、自分は何ができるんだろうと考えていました。

――2019年に参院選への出馬表明をした際、「子育て世代に温かい社会」を掲げていたのが印象的でした

 ママ友や保護者の方から、保育園や幼稚園が不足していて子どもを預けられなかったり、金銭面で生活が苦しかったりと、さまざまな悩みを抱えているケースを聞いて。未熟な私ができることは限られているけれど、子育てで助け合える街にしたい、未来を担う子どもが住みやすい社会にしたい、と出馬しました。力不足、勉強不足の点が多々ありご迷惑をおかけしましたが、実際に子育てで悩まれている方たちからお話を聞く貴重な時間になり、たくさんのことを勉強させていただきました。

――お子さんが思春期のときは接する上で難しさを感じましたか

 私の家庭だけではないと思いますが、長女、次女が中学、高校生のときは気難しい時期で、1日ごとに調子が良かったり、ふさぎ込んだりすることがありました。心配でしたが、過干渉にならないように気を付けていました。「まっすぐ行くのもいいし、右や左に曲がってもいい。後ろに2歩下がっても違う景色があるよ」と伝えましたが、自分の人生で決断するのは子どもたちです。親の理想を押し付けたくないし、親の言うことが正解とも限らないですしね。

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