元モーニング娘。の市井紗耶香さん(撮影はいずれも写真映像部・佐藤創紀)
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 アイドルグループ・モーニング娘。で活躍した市井紗耶香さん(40)。現在は4人の子育てと仕事を両立する多忙な生活を送っている。インタビューの【前編】では、20歳で長女を出産した際に体験した産後うつ、子育てで心掛けていること、母親から亡くなる2日前にメールで伝えられた「金言」などについて語ってくれた。

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――4人のお子さんを育てられています

 夏休み中は家にいるので大変です(笑)。長女は大学2年の20歳、高校2年の次女は17歳、小学6年の長男が11歳、小学1年の三女が7歳です。「子育てのベテランですね」と言っていただくこともありますが、親としてまだまだ未熟です。子どもは一人ひとり個性が違いますし、さまざまな出来事があって思い悩むことが今でもあります。子どもから教えてもらうことは多いですね。

――子育てで心掛けていることはありますか

 言葉選びはすごく大事にしていて、「嫌いという言葉は使わないようにしようね」と子どもたちに伝えています。嫌いな食べ物、嫌いな教科と言うと関係が切れてしまう。苦手な食べ物、苦手な教科という言い方にすれば、「克服できるように頑張ろう」という思考になるんじゃないかと。得手不得手は誰にでもあるし、恥ずかしいことではないですしね。

――市井さんが長女を出産されたときは20歳でした

 私と同世代で子育てをしている人がいなかったので、一緒に暮らしていた母に教えてもらったり、育児書を参考にしたりしていました。でも、産後うつになってしまいました。母乳が出ないことに悩んでしまって。当時は「母乳神話」が残っていて、今みたいにSNSでいろいろな情報を得られる時代ではなかったので、「私はできないお母さんだな」って自分を追い込んでしまいました。

 2、3時間ごとに哺乳瓶を洗って消毒して、を繰り返す生活で、子どもがなぜ泣いているのかがわからない。母は日中働いていたので、1人になったときに急に怖くなって。子どもは愛おしいですが、睡眠不足で思考がネガティブになり、哺乳瓶を洗いながら泣き続けていました。子どもの泣きやまない声に耳をふさいだこともありました。手を上げたことはないけれど、「どうしたらいいんだろう……」と暗闇にいる感覚でしたね。子どもを虐待する痛ましいニュースが目に飛び込んできたとき、「他人事じゃない」と気付かされました。

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