「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
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新年度になりました。末っ子の息子が高校生になり、今月から3人の高校生の母です。
母親になってから来月で17年。子育て期間は本当にあっという間ですね。足が不自由な息子がこの学校の幼稚園に入園した頃、彼はまだよちよち歩きしかできなかったのですが、今では先生や親友くんたちに助けてもらいながらひとりで学校生活を送り、無事に高校生まで成長できたことにホッとしています。
育児が一段落したこともあり、社会福祉士の資格を生かし、この春からスクールソーシャルワーカー(SSW)として非常勤で勤務することになりました。県内の複数の高校と特別支援学校を担当します。
きょうだい児の次女をはじめ、「自分の子どもの育て方でも壁にぶつかることがあるのに本当に大丈夫なのか?」と不安もありますが、新しい環境で出会う方々から学ぶこともたくさんあるはずです。どんな1年になるのか、今からとても楽しみです。
■ネクタイはホックから結ぶタイプに
さて。次女と息子が通う学校の制服にはネクタイがあります。中高一貫校なので、外見上、中学と高校で制服が変わるのはネクタイの色だけなのですが、中学のネクタイはホックでとめるタイプも選べたものの、高校は自分で結ぶものしかありません。息子は手には大きな障害はありませんが、脳性まひの影響で手先がかなり不器用です。結ぶことのように、クルンとひっくり返す作業が最も苦手のようです。
先月、中3の最後の登校日は、次年度の学生証の写真撮影のために、高校のネクタイが必要でした。朝、時間になっても部屋から出て来ないので見にいくと大苦戦中。