記者団の取材に応じる高市早苗経済安全保障相(24年9月19日)
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 自民党総裁選が終盤に入り、メディアの情勢調査では、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保担当相、石破茂元防衛相の三つどもえとの見方が強まっている。決選投票までもつれることが予想されるが、最後に残る2人については、見立てが毎日変わる激戦となっている。そんな中、高市氏が政策に関する「リーフレット」を党員らに送付したことが波紋を広げている。選挙の公平性をめぐってライバル陣営から批判が上がるなか、高市陣営も“反論”するなど泥仕合の様相を呈している。リーフレット問題の“真相”を取材した。

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「過去に高市さんから政策集のようなものが送られてきたことは一度もありません。これまで高市さんとは何の関係もなかったのに、なぜ今回はリーフレットが送られてきたのだろうか……。ひと言お礼を言おうと、奈良市の高市さんの事務所に電話を入れましたが通じませんでした」

 9月9日に高市氏から「リーフレット」が郵送されてきたという神奈川県の自民党員はこう首をかしげる。リーフレットは「ゆうメール」で送られ、封筒には「自由民主党 奈良県第二選挙区支部 支部長 高市早苗」と書かれていた。

 今回の自民党総裁選は「金のかからない選挙」を目指し、選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)は4日付で、政策パンフレットの郵送や自動音声(オートコール)による電話作戦の禁止を通知した。ところがその後、高市氏が全国の党員らに「リーフレット」を郵送していたことが発覚。逢沢委員長は11日、高市氏を口頭注意した。

 そこでいったんは沈静化したかのように見えたが、選挙序盤で高市氏の優勢が伝えられると、この問題が再燃した。

 16日、「深層NEWS」(BS日テレ)で石破氏の推薦人である平将明衆院議員は「高市さんのリーフレットが全国の党員に配られている。選挙管理委員会でそういうことはやめようということで、他の陣営は一切出していないが、高市さんのところだけ、その発表がある前に出されている。(高市氏が優勢なのは)そういう影響があるのではないか」と苦言を呈した。候補者の上川陽子外相の推薦人である牧原秀樹衆院議員も「リーフレットを送ったりするのは高市さんの数字を見ると、めちゃくちゃ効果的だったわけですけど、そういうことはできない」などと発言した。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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陣営が明かした「送付した理由」