一方で、旧安倍派議員の元秘書は高市氏を高く評価する。

「岸田政権では、自民党右派の人たちの鬱憤(うっぷん)がたまっていました。岸田さんが退任することで、自民党全体がぐっと右に行くことを望む岩盤支持層はまだ多くいます。安倍政治を継承することを期待する向きもありますが、高市さんは高市さんの考えでやると思いますよ。高市さんは『令和の省庁再編』を主張していますが、各省庁のよどんだ空気を一掃してもらうには、高市さんのような政治家が必要です。高市さんは女性初の政調会長を務め、総務大臣の経験もある。役人の腹を読み取り、もの言いもハッキリしていて歯切れがいいので役所も変わるでしょう。日本をもう一度世界のてっぺんに、とも言っている。初の女性総理になってもらいたいね」

 だが、前出の角谷氏の見方は厳しい。

「右派の受け皿としては、当初から高市さんの人気が高かった。ただ、自民党に求められているのは新しい保守の政治家です。高市さんは裏金議員にもさらなる処分は必要ないと言い、統一教会系とされるメディアで対談もしていました。新しい政治を自民党が模索しない限り、総選挙では国民の審判がくだるはずです。高市さんが日本のリーダーになったら、自民党の危機はさらに続くと思います」

 出馬会見では、背後に「サナエあれば、憂いなし」のキャッチフレーズが大きく書かれていた。リーフレット問題は”備え”が裏目に出た結果なのだろうか。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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