でもよく聞いてみると、落語のときは「桂米助」、タレント活動のときは「ヨネスケ」と使い分けているらしい。仮に自分に当てはめて考えてみる。寄席に出るときは「春風亭一之輔」、ラジオで喋るときは「イチノスケ」。
もし「イチノスケ」で明日から仕事をしろ、と言われたら物凄く不安だ。タモリ、ベッキー、ローラ、ヒロシ、マルシア、スザンヌ、ソニン、ダンカン、プリンス……イチノスケ。そうそうたる名字なしカタカナ芸能人に仲間入りするには荷が重すぎるので、しばらくは春風亭一之輔のままでいたい。
ちょっとまて。そんな話はどうでもいい。なぜ『コメ』なのだ? どうしてカタカナでお題が出されたのだろう? 本当に担当者がお題に軽さを求めたのか? ただでさえ軽薄なこのコラムなのだ。理由はそれだけではないだろう。
ただ単に、『米』だと「コメ」or「ヨネ」で判断しかねるからじゃないか? たしかにネットなどの記述をみると、わかりやすくするためか『米騒動』は、『コメ騒動』と記されていることが多い。『米』とだけすると「アメリカ」の意、ととられる可能性もある。
ことによると『米』とお題を出して、私が「『虎に翼』の山田よねさんのこと!?」と喜んでしまうのを避けようとしたのかもしれない。
9月も後半に入り、朝ドラ「虎に翼」の最終回も近い。ここにきて、よねさんの魅力全開だ。「おまえ、ふざけてんのか?」「こいつにはなにを言っても無駄だ」など「おまえ」と「こいつ」を駆使してよねさんに罵られてみたい。
まさかこんなによねさんに惹かれるとは思わなかった。しかし、記憶を辿れば「ブギウギ」のときにも同様の事態はあった。あのときは茨田りつ子や水城アユミなどなかなか尖ったライバルが登場し、結果的に私の琴線の幅が広がったような気がする。
今回の「虎に翼」もそのような効果があるのではないかとひそかに期待していたら、いい塩梅にここのところのよねさんの活躍でやはり私の気分が上がってきたようだ。あとちょっとで涼子さまも弁護士になってよねさんの事務所で共に働いていたかもしれないのに……そんな考えは贅沢だろうか。