春風亭一之輔・落語家
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 落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「コメ」。

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 まさか令和に米騒動が起きるとは思わなかった。しかし、記憶を辿れば平成にも同様の事態はあった。あのときはタイ米やインディカ米と呼ばれる外国料理に合う外米が紹介され、結果的に日本人の食の幅が広がったような気がする。

 今回の米騒動もそのような効果があるのではないかとひそかに期待していたが、いい塩梅にここのところのコメ不足も落ち着き始めたようだ。あとちょっとで口にしたこともない未知の味と出会えたかもしれないのに……そんな考えは贅沢だろうか。

 9月上旬に秋田へ行った際に、秋田新幹線の車窓からの景色を見て「あぁ、あるところにはあるんだな」とホッとした。そろそろ、新米の季節。食卓での楽しみがまたひとつふえる……。

 ……なんだか出来の悪い機内誌のエッセーみたいな文になってしまった。飛行機や新幹線の中でさしあたりやることがないときに読む、全体的にうっとりしたムードの漂う、「全部おんなじ人が書いてます」と言われればそんな気がしなくもない、アレのよう。

 危うくアレなかんじのまま進むところだった。気をつけよう。

 さて、今回のお題は「コメ」だ。ヤフコメとかの、コメントの「コメ」ではないだろう。やっぱりこの時節、食べる米だろうか。しかし、なぜカタカナなのか? 担当から送られてきたのが、米でなく『コメ』だった。カタカナであるのはなにかしらの意図があるはず。

 カタカナを使うことによってより軽みが出る、からか?

 たとえば、「米助をヨネスケに」してみる。子供の頃、桂米助なる落語家さんが急にヨネスケに変わってしまいビックリした。でも顔を見れば同じ人。桂米助改めヨネスケは、隣の晩ごはんを食べるためにそれまでより遥かに日本各地を飛び回るようになった。

 フットワーク軽くさまざまな仕事をするためにあえて桂をとっぱらって名前をカタカナに変えたのだろうか。なかなか大胆な決断だと思う。そんなことをした落語家は落語史上、米助師匠が初めてだろう。凄い、否、スゴイ!

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イチノスケでカタカナ芸人に仲間入り?