この改正法に書かれた条文と趣旨を業者、行政、そして私たち一般の飼い主がしっかりと理解し、適切に運用していけるかどうか、まだあいている「穴」を埋められるかどうか、まさにいま試されている。

 動物福祉を向上させようという世界的な潮流は、今後ますます強まっていくだろう。当然ながらその対象はペットに限らない。日本に暮らす、私たち人間がかかわる多くの動物たちの福祉に十分に配慮した環境を整えられるかどうか、これから中長期的に問われることになる。解剖学者の養老孟司さんに取材した際の言葉を、改めて紹介する。

「日本でも、動物たちの自由や福祉を考えられるようになってきたことは、人間として余裕が出てきたということだと思います。動物は自然であり、そして人間も本来自然な存在で、ペットを通じて自然と地続きだという感覚を取り戻せる。そこから、人間本来のあり方を考えることにもつながっていきます。これは、なかなかいいことです」

 遠くない将来、日本の犬たちを覆う「闇」が過去のものとなっていてほしい。ペットビジネスの現場にいる犬たち、猫たちが救われていてほしい。そう願い、取材を続けている。

 3年前の春、さつきは天国へと旅立った。本書を愛犬さつきに捧ぐ。

(文/太田匡彦)

暮らしとモノ班 for promotion
「プラレール」はなぜ人気なの?鉄道好きな子どもの定番おもちゃの魅力