「世襲が加わればさらなる嵐に」
「福田氏から8月に直接、聞きました」
そう話すのは、選挙参謀の藤川晋之助氏。7月の東京都知事選で、広島県安芸高田市の前市長・石丸伸二氏の参謀として、石丸氏に約165万を獲得させ、小池百合子知事に次ぐ2位に押し上げた立役者だ。藤川氏はこう話す。
「福田氏は小泉氏と、次期総裁選について話す機会があったそうです。自民党は裏金事件とともに、世襲で信頼を失う状況にある。そこで、福田氏は『この総裁選は一度、休みにしないか。裏金でどうにもならない状況で、世襲が加わればさらなる嵐にさらされる』というような話を小泉氏にしたそうです。最初は小泉氏も福田氏の話に『そうですね』とうなずいたそうです。2人の仲は良好なので、福田氏は小泉氏の出馬はないと踏んでいた」
福田氏が所属した安倍派は、裏金事件で批判を浴び、今回の総裁選に候補を立てることはできない状況だった。福田氏自身も裏金議員であり、小泉氏の出馬で世襲批判が高まり、自身に火の粉がかかることをおそれたのだろうか。また当選回数から見れば2人はライバルでもある。
福田氏の小林氏支援で「スイッチが入った」
小泉氏の出馬を一度は思いとどまらせた福田氏だが、その後、別の形で総裁選の表舞台に登場する。
8月19日、総裁選出馬を最初に正式表明した小林鷹之前経済安保相の記者会見の際、福田氏は小林氏を支援する議員として同席していた。小林氏の会見に同席した24人の国会議員のうち、11人が安倍派。福田氏が“仕込み”をしたことは明らかだった。その後、安倍派から小林氏を支援する議員はさらに増えている。
藤川氏が説明する。
「お互い、出るのはやめておこうと言いながら、フィクサーのように安倍派の議員を束ねて小林氏の記者会見に福田氏が顔を見せた。小泉氏は無派閥を通してきたが、お父さんは安倍派の源流、清和政策研究会ですし、これにはムッとしますね。私が聞くところでは、そこで小泉氏にスイッチが入ったそうです。まあ、小泉氏と福田氏の代理の小林氏の戦争という感じでしょう」