特捜部に出された刑事告発状
この問題で、東京都の男性が9月2日に、斎藤知事と片山前副知事の行為が背任にあたるとして、大阪地検特捜部に刑事告発状を提出した。告発状には、
〈被告発人斎藤と片山は、兵庫県で補正予算を組み、補助金の増額。その裏で同時期に極秘裏に対象金融機関と交渉し、増額と引き換えに優勝パレードへの寄附を要求。本来、不要な補助金の増額という税金投入のシステムを悪用して、優勝パレードへの寄附にあてさせた。被告発人、斎藤と片山は寄附をノルマ通り集めた実績で評価を高めたい目的で、兵庫県に損害を与えた、違背行為である〉
などと書かれている。
県は否定しているが、補助金増額と引き換えに寄付を求めたのかどうかが焦点になってくる。
「補助金と寄付はセットになっている」
この点について、AERA dot.編集部は、優勝パレードに寄付した、ある金融機関の幹部を直撃。重要な証言を得ることができた。
―― 優勝パレードへの寄付はどう決まったのか?
「もともと、うちのような小さな金融機関に優勝パレードに寄付なんて話はありませんでした。突然、うちの最高幹部から、『〇〇信用金庫から頼まれた。優勝パレードに300ほどうちから出す』と話が降ってきました」
―― いつごろ、寄付してと言ってきたのか?
「優勝パレードが終わってからです。寄付すればパレードに使用する車にロゴが入るなど、特典があるのですが、すでに終わっています。当然のように、『何のメリットもない、カネを捨てる気なのか』と内部で声があがりました。するとうちの最高幹部から、『県の金融機関向けの補助金増額が決まっているので、寄付はセットになっている。最終的にプラスになる、損はしない。優勝パレードの特典とか関係ない』との話でした」
―― 寄付は誰が依頼してきたのか?
「うちの最高幹部は『(当時の副知事)片山氏がどうしても寄付をと頼んでいる』と言っていました。片山氏は副知事になる前は、兵庫県信用保証協会理事長だった。つまり公的融資の保証人で、金融機関からすれば頭があがらない。『片山氏が斎藤知事のメンツを立ててと言っている』ともうちの最高幹部から話がありました。片山氏に加え斎藤知事からもとなれば、小さな金融機関にとっては天の声、神の声。他の金融機関にもこっそり聞くと、同じように補助金と寄付、セットになっている、寄付するつもりだとの話だった。そこで、歩調を合わせるべきと結局、300万円を寄付しました」