8月21日に枝野幸男・立憲民主党前代表が代表選出馬に名乗りを上げ、公約を発表してから約20日経過した。
枝野氏の立憲民主党代表選挙の「政策骨子」は、A4判で5ページ。
タイトルは、「ヒューマンエコノミクス―人間中心の経済」だ。
教育投資・研究開発・地域経済・一次産業・エネルギー、雇用・賃金、社会保障・税、ジェンダー・多様性、外交・安保・災害対応・危機管理・選挙政治改革・行政改革という8本の柱からなる。
このうち、今回は、最後の柱の中に掲げられている政治資金改革について取り上げてみたい。なぜなら、非常に心配な内容だからだ。
通常国会の提案より後退した、枝野氏の政策骨子
立憲民主党は、今年の通常国会に、政治資金に関するほぼ完璧とも言える素晴らしい提案(法案提出)を行った。若手議員の頑張りによるところが大きい。
ベテラン議員は、実は内容が行き過ぎているという不満を持っていたが、改革派の若手の勢いに負けて押し切られたという経緯がある。
前国会での立憲の提案のポイントをおさらいしておこう。
現在の政治の最も根本的な問題は、金をくれる人に便宜を図る「事実上の贈収賄政治」になっていることだ。その構造の大本を断つために、立憲は、企業・団体献金の禁止を提案した。
また、自民党が裏金を作る元になった政治資金パーティーも、個人向けも含めて全面禁止とした。
さらに、使途不明なまま二階俊博・自民党元幹事長が5年で50億円を受け取っていたことで有名になった政策活動費禁止も提案した。
長年の懸案である、調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途の全面公開も求めた。
一方、枝野氏の「政策骨子」に掲げられた内容は、これとは全く異なる。
その提案を「政策骨子」から引用しよう。
● 政治資金に関する透明性を徹底し国民による監視機能を強化するため、まずは少なくとも、国会議員関係政治団体における企業・団体献金と政治資金パーティーに関して、一円単位での公開を実現する。
● さらに、政治資金収支報告に関る罰則の強化を含めた適正の確保と公開性の拡大、「政策活動費」や調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化、政治資金に関する第三者機関の設置、さらには企業・団体による資金提供の禁止を視野に、他の政党や国民世論に向けた働きかけを粘り強く進める。
というものだ。
何も問題意識を持たずにさっと読むと、企業・団体献金はいずれは禁止するのだと思ってしまう。しかし、企業・団体献金については、最初に「一円単位での公開を実現する」と書いてある。