「健やかに成長していくよう,雅子と共に見守っていきたいと思います」(平成25年)から、「将来については,愛子も高校生になり,自分の将来についても思いを巡らす時期になっていると思いますので,雅子も私も,愛子本人の希望をよく聴き,相談に乗っていきたいと思っています」(平成30年)というように、見守るから本人の希望に寄り添うものに移行する。

 進路を考える時期に差し掛かり、天皇陛下は「本人の希望を聴き」「相談に乗っていきたい」という言葉を繰り返されている。この気持ちは雅子さまももちろん一緒だ。改めて仲が良いといわれる天皇ご一家の様子が目に浮かぶ、愛子さまを見守る、思いのある言葉だ。

 学習院大学への進学が決まった以降、天皇陛下の愛子さまへの言葉の中には、「感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら」(令和2年)というフレーズが必ず入ってくる。

「感謝と思いやりの気持ちを持って,一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います」(天皇陛下お誕生日に際し/令和3年より)

 そして、愛子さまが成年皇族の記者会見を行った翌年には天皇陛下はこう語られた。

「愛子が記者会見でも述べたように、自身のこれまでの経験は周りの多くの方の支えや協力があったからであり、これまで様々な形で支えていただいた皆さんに感謝する気持ちを持ってくれていることを、私たちとしてもうれしく思いました」(天皇陛下お誕生日に際し/令和5年)

天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは、成年皇族として初めての記者会見に臨んだ=2022年3月17日午後、皇居・御所「大広間」 代表撮影

 愛子さまが立派に果たされた成年皇族としての初めての記者会見は、天皇陛下が願い続けてきたことに、愛子さまも応えた瞬間だったのだろう。

 愛子さまが生まれた2001年から皇室番組の放送作家を務めるつげのり子氏は、お誕生日の記者会見で天皇陛下が愛子さまに向けて述べられた言葉について感慨深げにこう話す。

「そもそも敬宮愛子さまのお名前には天皇皇后両陛下の思いが本当に込められていますよね。

 毎年、お誕生日には愛子さまの成長ぶりをお話しされていますが、印象深いのは平成17年に愛子さまの養育方針について一遍の詩を引用されたときです。

 その詩の中に〈可愛がられ 抱きしめられた 子どもは 世界中の愛情を 感じとることを おぼえる〉という一節があります。その言葉は陛下にとって、子育てにおける大きな指針になられたのではないかと思います。

 だからこそ、愛子さまが誰に対しても愛する心を持ち、また愛される人になって、感謝と思いやりの気持ちを持つように成長を見守ってこられたのだと思います。

“感謝と思いやりの気持ちを持って”という言葉は、令和になってから毎年語られています。詩を引用された当時から、その一節を念頭に置かれて愛子さまに接してこられたのだと思います」

 記憶に新しい愛子さまの昼食会デビューの素晴らしい姿は、天皇陛下と雅子さまの愛情の結晶だったように思えた。

(AERA dot.編集部・太田裕子)

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