名門校卒の野球選手が低迷
プロ野球スカウトが語る仰天話
高校野球もプロ野球も大好きな昭和世代の私が先日、あるプロ野球のスカウトの話に仰天しました。氏は以下のように述べました。
「もう高校や大学の名門校卒の選手はなるべく上位では指名しない。アマ時代から、プロ顔負けのトレーニング機器や野球理論で武装しているので、即戦力的な採用はありますが、高校からプロ並みのトレーニングをしているため、球速も肩の強さも体力もマックスまで出来ていて、プロに入ってから伸びない。それに、肩や身体を酷使していて故障が多い。大エースや四番打者になるような選手は少ないことがわかってきたからです」
スカウト氏によると、そう感じたきっかけは、大阪桐蔭の根尾昴(投手兼内野手・中日)、藤原恭大(外野手・ロッテ)の2019年ドラフト1位組で、高校出だが即戦力と呼ばれた選手たちの低迷だといいます。
「根尾は4球団が指名、藤原にも2球団が重複指名しましたが、入団6年で根尾の出場試合は投手として30登板、0勝1敗、防御率3.65。同じく藤原の出場試合は306、通算打率238、本塁打は14本。どちらも期待を大きく裏切っています。その前年のドラフトでも、7球団が重複指名した清宮幸太郎(早実・日ハム・内野手)や、3球団が外れ1位で指名した安田尚憲(履正社・ロッテ・内野手)は、双方とも長距離打者として高卒でも2年程度でレギュラーと言われていましたが、いまだ定位置を獲得できません」(スカウト氏)
確かにこう見てくると、甲子園で勝ち進む高校の主力選手が、プロに入って予想ほど活躍していないことがわかります。ちなみに、清宮、安田の同期には村上宗隆(内野手・ヤクルト)もいて、2年目でレギュラーとなり、2022年には三冠王までとっていますが、九州学院出身で甲子園は高校1年のときに1回出場しただけです。
こうした有名校選手のプロ入り後の成績と同時に、パ・リーグ三連覇を果たしたオリックス・バファローズのスカウトと育成の成功が、有名校を避ける原因にもなっています。
オリックスはここ数年、突然投手王国となりました。山本由伸(都城・ドラフト4位、その後ドジャース)、宮城大弥(興南・1位)、山下舜平太(福大大濠・1位)、宇田川優希(仙台大・育成)、山崎颯一郎(敦賀気比・育成)、山田修義(敦賀気比・3位で入団も故障。育成契約から這い上がる)、東晃平(神戸弘陵・育成)、齋藤響介(盛岡中央・3位)など、150キロどころか160キロに迫る快速球の無名投手を次々獲得、戦力にしてきました。