なぜ、生物学が「帝王学」と結びつくのか。
梶田さんによると、欧州では生物学や博物学は王侯貴族のコレクションから始まり、自らも研究者となる人もありました。国民も生物学に広い教養を持つロイヤルを尊敬してきた背景があるという。
「そうした時代背景もあり、教養の範囲を超えて自らこつこつと動植物を採集し、研究を重ねてこられた昭和天皇の存在は、ロイヤルのなかでもある種、異例でした。だからこそ、その業績が認められ、英国など学会の会員として推挙されたのでしょう」
その生物学研究は、魚類の研究をライフワークとした上皇さま、ナマズや家禽類の研究を続けてきた秋篠宮さま、そして若き皇族である悠仁さまへと受け継がれている。
「皇族方は、職業を自由に選ぶことはできません。だからこそ、ライフワークとして続ける研究者としての顔を持つことは、支えになっておられるのでしょう。一般の研究者のように成果や業績が昇進や研究費にシビアに影響する、といったお立場ではないかもしれません。しかし、そうしたことが逆に地道なフィールドワークにつながっているのかもしれませんね」
いまの関心は学術論文をまとめた「トンボの研究」にあるようだが、稲から昆虫まで、幅広い分野に興味を持っている悠仁さま。これから、どのような世界を選び、進んでいくのだろうか。
(AERA dot.編集部・永井貴子)