困っている人を見かけたら、優しいかたは「誰かを助けたい」という素晴らしい気持ちを持っています。ですが、誰かを助けるためには、自分自身が肉体的・精神的にかなりタフであることが求められます。Xフォロワー約30万人の元自衛官ぱやぱやくんが、自衛隊の衛生科隊員たちの経験をもとに、助けるための体力温存の重要性と、間接的に支える方法を、著者の最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』から抜粋・再編集してご紹介します。
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この本を読んでいるような優しい方は、困っている人や苦しんでいる人を見たときに、「助けたい!」と思うことがあるかもしれません。
その気持ちを抱くことは、とても良いことです。しかし、実際に誰かを助けるためには、肉体的・精神的にタフである必要があります。
陸上自衛隊には「衛生科」という負傷した隊員を助ける職種があります。この衛生科には、医師や看護師だけではなく、救急救命士の一般隊員なども所属しています。
実はこの衛生科の隊員は、一般隊員以上に屈強な人たちが多いのです。たとえば、厳しい訓練をくぐり抜けてきたレンジャー隊員も、ここに数多く所属しています。というのも、彼らは一般隊員と同じ行動をする必要がありますし、負傷者を担いで安全なところまで連れていく必要があるからです。
もしも、誰か1人を助ける役目を任された衛生科の隊員が途中で倒れてしまったら、負傷者が2人となってしまいます。
彼らを助けるためには、最低でも2人必要になります。これは、できるだけ避けたい状況です。だからこそ、衛生科の隊員は、屈強でなければいけないのです。
では、衛生科の隊員が誰かを助けるとき、他の隊員は何をしているのでしょうか。
簡単に言うと、彼らは、助ける衛生兵のサポートをしているのです。
具体的には、衛生科の隊員に「食事を優先的に食べさせる」「荷物を持つ」「ゆっくり寝させる」「警戒任務は免除する」など、助ける任務以外の部分でサポートするのです。
つまり、衛生科の隊員が、できるだけ体力を温存できるように動くのです。こうすることで、衛生科隊員は余力を持って、負傷者を助けることができるのです。
これは戦場ではなく、災害やトラブルなど、日常と地続きにある非常時でもそうだと思います。