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栗原さんは「OBNは、単なる男性中心の働き方を指すものではない。同質性・同調意識の高い環境や風土の中で構造的に作り上げられた文化だと実感した」と話す。だが、参加者の中には、OBNが問題だと腑に落ちない人もいる。その場合は「疑似体験」をしてもらった。
例えば「女性数人の輪の中に男性1人が入り、ランチに行く」設定で話した。まず、どこに行くのか。女性たちは「カフェに行ってゆっくり食べたい」と言っている。いつもラーメン、丼ものというタイプの男性からすると居心地がよくない。何を話すのか。女性に交ざって、仕事以外の共通の話題もなかなかない。マイノリティー体験だ。
変わり始めた社内風土
また、ダイバーシティーの推進に協力すると割を食うと思っている人たちもいる。早く帰らなければならないメンバーの代わりに残業しなければならず、負担が増えると考えているのだ。勉強会では「育児や介護中の人に配慮しすぎて、割を食っている人」の立場に立って、議論。どこが問題なのか、とことん本音で話すことができるという。
勉強会にはこれまでに約200人の社員が参加。当初は男性だけで始めたが、今では女性、外国籍の社員も参加している。「少しずつ会社の文化風土が変わっています。弊社では会議やイベントのパネリストは男性ばかりでしたが、男性4、女性4、多様性のある人2の割合にしようとして、今は常に多様なメンバーが参加することが普通である状態にだいぶ近づきました。グループのガバナンスを統括するボードメンバーのうち、女性が40%以上を占める等、目指すジェンダーバランスに少しずつ近づいています」(栗原さん)
男性中心の文化を乗り越えるために何ができるか。東レ経営研究所のDE&I共創部部長の宮原淳二さんらJ-Winのメンバーは「男性の行動を変える10カ条」を考えた。
すぐできるのは、「歩行中もランチタイムも貴重なコミュニケーションの機会と捉える」。ランチタイムに部下の悩みなどを聞くのもよいだろう。相手の置かれている事情を知らないから、仕事を振らない、無理な残業を強いるなどのトラブルが起きるのだ。宮原さんは全ての男性に呼びかける。
「自分の行動を変えてOBNに風穴を開けましょう」
●男性の行動を変える10カ条(「J-Win 男性ネットワークの会」議論から作成)
1.成功体験は押し付けず、あなたの宝物としてしまっておく
2.上司の顔色より、部下の仕事の成果を見る
3.仕事の進めやすさ、振りやすさに関係なく、平等に仕事が分担できるようマネジメントする
4.話の腰を折らず、最後までしっかり聞く
5.一人ひとりの仕事に対する価値観を尊重する
6.仕事の目的、背景をしっかり説明した上で、部下に仕事を任せ、伴走する
7.部下から誤解を招く固有のネットワークづくりはやめる
8.物事はオープンな場所で決める(喫煙所、飲み会、ゴルフ場等では決めない)
9.歩行や食事のスピードに配慮。冷房のかけ過ぎにも注意する
10.歩行中もランチタイムも(部下との)貴重なコミュニケーションの機会と捉える
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2024年9月2日号より抜粋
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