しかし、メーガンさんがさらに不愉快を感じているのは、王子がロンドンに家を購入する計画だ。

 国王が、彼らの住まいであったフログモア・コテージを返還させたので、二人はイギリスでの本拠地を失った。英王室には君主が体調不良や外遊などで責務を遂行できない場合、代行する国務参事官という役職がある。この役職は、高位の王位継承者であると同時にイギリスに住まいを持つことが条件だ。軍事関連の肩書を多く失った王子は、名誉ある国務参事官まで失いたくない。そのためには国内に住所が必要だ。フログモア・コテージは取り上げられたが、それならば自分で買えばよい。父を見返すことにもなる。イートン校時代の友人らと連絡を取る機会が増えるなど、アメリカでの生活に影が差してきた今、王子のホームシックはつのるばかりだ。

 それならメーガンさんは王子とイギリスに帰るだろうか。彼女は、イギリスの人たちに愛されていないことを知っているし、メーガンさんも王子と結婚してもイギリス国籍を取得しないなどイギリスへの愛を見せていない。

 切り札は、アマゾンの「オーディブル」だ。スポティファイの打ち切り後、手に入れた唯一の貴重な契約だ。これは彼女にとって「MAKE OR BREAK(のるかそるか、運命を決定する)」と言われる。成功すればアメリカの人はもてはやしてくれる。失敗すればイギリスに行かねばならないかもしれない。まだハリウッドには多くのチャンスがあると信じるメーガンさんは、大逆転を狙う。

(ジャーナリスト・多賀幹子)

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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