横澤夏子さん(撮影/写真映像部・高野楓菜)
横澤夏子さん(撮影/写真映像部・高野楓菜)

――複雑なシーンもコントに見える、というのは芸人さんならではの視点ですね。

 いっぱいいっぱいのときも俯瞰すると、「また私の悪いところ出てるわ」みたいなトーンになれますよね。私は朝ドラが大好きなので、自分でナレーションを入れて自分をヒロインに仕立て上げるっていう方法もよくやります。例えば、「夏子は落ち込んだのであった……。このあと幸せなことが起きるとも知らずに!」と持ち上げて「来週もお楽しみに~」って終われば、今週は視聴率のために落ち込む回か!と思える。朝ドラはだいたい木曜日が切ない回なので「今日は木曜日だ!金曜を待とう!」と切り替えられます。

 これは婚活パーティーに行き過ぎて疲れていたときに、ドラマでも婚活パーティーで誰にも会えないってシーンあるよなって思ったのがきっかけです。ちゃんと第一話を盛り上げないと第二話につながらないし、いつか運命の人に出会うことを考えると、目の前の男性たちがいい踏み台にしか見えなくなっていました(笑)。

 家事をしながらドラマのサウンドトラックをかけることもよくやります。「黒革の手帳」の主題歌を流しながら洗い物をやると、悪だくみしながらのし上がる女になりきれるし、「ガリレオ」なら天才的に素早く家事をこなしている気分になる。

――ちょっと距離を取るんですね。

 いざその場にいると「ああーーダメだ、お手上げだー」って、どうしようもできないこともあるんですけど。いっぱいいっぱいになったら、いったんCM行きましょう!って一区切り。逆にそこを際立たせて、思い出をしっかり残す。自分が死ぬときに楽しいこともあったけど頑張って生きてきた!と思えるような、“分厚い走馬灯を作っている期間”にしています。

――劇場に託児所をつくりたいということも、ずっとおっしゃっていました。

 劇場でネタをやっていると、途中で子どもが泣き出しちゃって「すみません、すみません」って出て行くお母さんがよくいたんですよね。ベテランの芸人さんは「いいよ、こっちにいなよ」って声をかけてあげられるのに、私はうまく言えなくて、ただ見逃しちゃうのがすごく切なかったんです。ベビーシッターのアルバイトもずっとやっていたので、お母さんって忙しくて劇場にも映画館にも行けないことは知っていて、劇場に託児所があったらめちゃくちゃ良いじゃんって、いろんなところで言いふらしていたら実現しました。

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