2021年の決勝戦では、石見智翠館のエース山崎琢磨(現ソフトバンク)にノーヒットに抑えられ「0-8」と大敗した。

「今年の夏の大社はノーシードでした。1戦ずつ勢いに乗り、実力と自信も積み重なった感じ。高校生は少しのきっかけで大きく伸びます。そういった時期と島根県大会、そして甲子園が重なったように感じました」

~機動力と守備力を徹底的に活用~

「時代に合った攻撃方法と高い守備力で勝ち進んだ」と語るのは山陰放送で解説者を務め、大社を見続けている樋野徹氏。

 樋野氏は同県・平田高(2020年のセンバツで21世紀枠として出場)で主将を務め、1986年夏の決勝戦では敗退。その後は社会人・住友金属でプレー、都市対抗野球5度出場(補強選手を含む)を果たした名捕手だった。

「今夏は大社らしくない野球を見せてくれた。これまでは投打にしっかりとした柱を据えて戦う印象だったが、特に攻撃面に関しては違った。機動力を生かし、どこからでも点を取れるようにした」

 攻撃面では島根県大会6試合で、藤原佑の12盗塁を筆頭にチーム29盗塁が話題を呼んだ。そして左腕・馬庭優太を中心とした堅実な守備も大きな武器となった。

「守備では馬庭の成長が大きい。昨年までは変化球に頼り、落ちる系の球も多投していた。しかし3年生になり球威と制球力がアップ、真っ直ぐとスライダーを中心に勝負できていた。スタミナを保てることにも繋がった感じもする」

 今春から新基準バットが導入され、各校とも苦しんだと聞く。今年の夏の甲子園では大会を通しても7本塁打しか出ないほどだった。その中で大社は対策を練り、スムーズに対応できていたようだった。

「島根大会から少ない得点を守り抜く野球をやっていたが、そのためのキーが機動力。マークされたこともあり甲子園では島根大会の時のようには多くの盗塁ができなかった(4試合8盗塁)。それでも勝ち進んだことがすごいと感じた」

~私立校の存在が島根県全体の野球レベルを引き上げている~

 1回戦の報徳学園(兵庫)を皮切りに、創世館(長崎)、早稲田実業(東京)を撃破。公立校(=県立)の大社が強豪私立校を打ち負かしたことでも注目を集めた。一部では「越境留学の是非」を問う声も出ていたが、2人の受け止め方は違う。

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