夏の甲子園で93年ぶりのベスト8入りを果たした大社の石飛文太監督
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 第106回全国高校野球選手権大会での島根・大社高校(以下大社)の活躍が記憶に新しい。強豪校を次々に撃破してのベスト8進出は多くの人々を熱くさせた。しかし地元関係者たちは浮かれることなく、次を見据えて新たなスタートを切っている。

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~帰校した翌日、出雲大社の商店街を挨拶回り~

「石飛(文太)監督なら、さっきまでその辺にいましたよ」と地元・山陰放送アナウンサーの山根伸志氏は、出雲大社神門通りの商店街で声をかけられた。

「大社は昨日(8月20日)、甲子園から帰ったばかり。帰校した際には350人近い出迎えの人々が集まったことも話題になりました。疲れているはずなのに、翌日の午前中には挨拶回りをしていたのに驚きました」

 石飛監督は大社カラーの紫色のシャツを着用、商店街を回ってお礼を伝えていたと聞いた。

「石飛監督らしい。インタビューなどを見た人は多いと思いますが、あのままの実直な方です。取材に伺うと、いつも時間を割いて誠実に対応してくれます。『時の人』となっても、何も変わらないようです」

 今夏・島根大会でも大社戦の実況を務めた。この日(8月21日)は、大社フィーバーの余韻が残る町をレポートしに現地へ足を運んでいたところだった。

~選手からは神々しさ、監督からは悲壮感~

 山根氏は同局入社後、30年近く高校野球取材に携わっている。大社について聞くにはうってつけの人物だ。

「結果論ですが、島根大会の決勝戦前に選手から神々しさのようなものを感じた。自信というか、誇り高い表情が見て取れた。甲子園に出るのだけが目標ではない感じで、手応えがあったのかな、と思ってしまいます」

「逆に石飛監督には悲壮感のようなものを感じた。絶対に甲子園に出なければダメだ、というよう雰囲気。3年前の決勝戦で同じ相手(=石見智翠館)にノーヒッターで負けた記憶がよぎったのかもしれません。口には出さないですが、表情や雰囲気から伝わってきました」

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「時代に合った攻撃方法と高い守備力」