天皇、皇后両陛下は8月21日、ご静養のために栃木県那須町の那須御用邸を訪れた。東京の皇居を車で出発し、夕方に御用邸に到着。敷地内を散策された。社会人1年目の長女の愛子さまは、勤務の都合で御所にお留守番。今回は夫婦水入らずでのご静養となった。
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午後6時前。少し前に降った雨に濡れた那須御用邸の庭を、天皇陛下と皇后雅子さまがゆっくりと散策していた。
「マツムシソウは?」
「前にリンドウはここにはなかったよね」
陛下は青いチェック、雅子さまはストライプのシャツに白い花のイヤリングをつけて、リラックスした装いで庭の花々を楽しまれていた。
日赤で学生ボランティアを育成する部署に勤める愛子さまは、勤務が忙しく、今回は御所に残ることに。愛子さま不在のご静養について記者から感想を聞かれた雅子さまは、陛下と顔を見合わせて静かにほほ笑んだ。
「だいぶ久しぶり」
陛下もにっこりと相槌を打ちながら、こう返す。
「久しぶりですね、こういう2人でね。ここの中で少しゆっくりできたらいいなと思っています」
「ここの中で歩ければよいかしらと思って」
「自然が豊富ですのでね。那須の自然を楽しむことができればと思っています」
お出迎えも記帳もカット
今夏は当初、静岡県下田市にある須崎御用邸でのご静養も調整されていたが、東北の豪雨被害に配慮して中止となり、那須御用邸でのご静養の決定はギリギリになった。
そのため、いつもと違うことがいくつかあった。
ひとつは、皇居から御用邸まで、車での移動となったことだ。通常、那須御用邸へは東京駅から那須塩原駅まで新幹線に乗り、車に乗り換えて御用邸に向かうのが常だが、今回は皇居から車で4時間かけて御用邸に到着した。
那須塩原駅では栃木県知事らの出迎えを受け、駅前には歓迎する地元の人たちが集まり、ちょっとしたお声がけもある。そうしたあたたかな光景が、ご静養1日目のニュースとして流れるのが常だった。
もうひとつの変化は、御用邸での記帳がなくなったことだ。
栃木県などによると、天皇ご一家がご静養のために滞在した際には、附属邸の事務棟の入り口付近にテーブルを置き、記帳ができるようにする。あらかじめ希望者を確認したうえで、地元の議員、神社本庁、企業、那須地域の農家でつくる「那須嚶鳴(おうめい)会」などから40人ほどが御用邸へ行くのが恒例だった。
「那須嚶鳴会」のメンバーのひとりは、
「今年は記帳所の設置はないと連絡を受けました」
と肩を落とす。那須塩原市にある三島神社の相馬秀和宮司も、こう話す。
「天皇ご一家が滞在なさるときは、御用邸にうかがって記帳しておりました。今年は、両陛下が来られるのに記帳についての連絡が来ないと思っていましたが……」