「韓国とのハーフかどうかは見た目ではわからないので、ヘイトなり嘲笑的な発言なりを聞かされ同意を求められることがよくあります。塾の大きな教室で先生が『韓国人は〇〇だからしょうがないね』といい、学生が皆笑っている中、自分1人だけ笑えず涙が出そうになるのを堪えたことは10年以上経った今でも鮮明に覚えています」(日本と韓国・30代)

 教員の自覚のなさは深刻だが、さらに大きな問題につながるケースもある。

千の切り傷による死

 サンドラさんによると、米国生まれのある男性は日本とアルゼンチンにルーツがあり、三つの国籍を持っていた。そのままで問題なかったのに、受験を前に中学校の教員が生徒に複数の国籍があることを問題視。それを機に、彼は一時日本国籍を失ってしまった。成人後に男性は間違いに気付き、国籍を取り戻せたが、この間大学の奨学金を申請できないなどの不利益を受けたという。「先生が半端な知識や思い込みで口を出さないでほしい」とサンドラさんは話す。

 冒頭のアンケート調査結果の提言にはこう書かれている。

「『大げさな』と思われるかもしれませんが、日々のマイクロアグレッションによって積み重なる傷痕は『千の切り傷による死(Death by a Thousand Cuts)』と言われるほどに深刻なものなのです」

 ミックスルーツの人たちは、今後も間違いなく増えていく。想いと知識を深める時に来ているのは間違いない。(ライター・大塚玲子)

※調査結果は、あくまでも回答した人の傾向や割合を示すもので、いわゆる「ハーフ」や「ミックス」などの人々の全体の一般的かつ代表的な経験や傾向を示しているわけではありません

AERA 2024年8月26日号

暮らしとモノ班 for promotion
家庭用脱毛器の基本的な効果やメリット・デメリットは?ケノンをはじめおすすめ商品も紹介