気にしない子もいるが、その子が不快感を示した時は考えてほしいとサンドラさんは言う。
「髪の色や身体の大きさなど、見た目のこともなるべく言わないほうがいいし、言う必要もありません。子ども同士もそうですし、大人は特に慎重になってほしいです」(サンドラさん)
大阪府に住む49歳の女性は、祖母が中国人。顔立ちからはわからないが、足の長さが祖母に似ており、近所の人や周りの子どもたちからはよく「気持ち悪い」と言われていたと振り返る。
「おばあちゃんがそういう民族で、私はそれを受け継いでいた。目立ってしまうので、体育の時間は大嫌いでした。自分からルーツのことは話せなかったし、たまに言うと驚かれて、『聞いてはいけないことを聞いた』みたいな雰囲気になる。それも嫌でした」(女性)
学校で教員がいじる
違和感は他にもあった。同じ学校にいたブラジルやアメリカにルーツがある子は「かっこいいね」と言われるのに、アジアにルーツがある自分はネガティブに見られていることを感じた。「目の前で中国人の悪口を言う人もいます。今働いている店でも、職場の人が中国人のお客さんの声の大きさを『きついわ』と言ってくることがあります。『実は私、祖母が中国人なの』と話すと『ごめん』と謝ってくれるんですけれど……」(女性)
学校で教員からマイクロアグレッションを受けることもある。千葉県に住む男子大学生は、中学生のとき同じクラスにアフリカにルーツをもつ友人がいた。
「彼はずっと日本で暮らしているから日本語ペラペラなのに、その先生は彼に『言ってること、ワッカリマスカ〜?』と声をかけて笑いをとっていたんです。わざと慣れない日本語を話すようなイントネーションで、彼をいじっていた。笑ってた子が多かったけど、俺以外にも、その子と同じサッカー部だったメンバーは笑ってなかったと思う」
冒頭のアンケートにも、こんな声が寄せられている。
「小学生の頃、男の担任に、ハーフ(ヨーロッパにルーツをもつ)だから将来胸が大きくなるだろうね、英語と日本語を磨けばアナウンサーとかいいんじゃないなどと男子グループの前で言われ、男子に笑われた経験は、今でも思い出すと身の毛がよだつ」(日本と英国・20代)