
互いに3勝ずつを挙げ、金メダルの行方は抽選で階級が選ばれる代表戦に。会場に設置された画面に映し出された電子ルーレットは「+90」を示し、会場は熱狂のるつぼとなった。選ばれたのが地元の英雄テディ・リネールだったからだ。フランスにとってあまりにもできすぎた展開に、SNSでは「出来レース」がトレンドワードになった。22歳の斉藤立は果敢に挑んだが、地元の大声援も受けてリネールが一本勝ち。金メダルを賭けたリベンジは持ち越しとなった。テレビ中継で解説を務めたロンドン五輪代表で天理大学監督の穴井隆将さんは、
「そこ(代表戦)で『90超』になるかなあ……なんでそこになるかなあ……」
と本音を吐露したが、多くの国民が同じ思いを抱いたのではないだろうか。(編集部・秦正理)
※AERA 2024年8月26日号より抜粋