広陵・枡岡(撮影/写真映像部・松永卓也)

 それでも、攻略できない。ピッチャーのリリースポイントが高ければ、必然的に打者の目線は上がる。通常であれば顔は上向き、ボールの下を叩く傾向が増して打球はフライになりがちだ。高身長の左腕に対して、広陵打線は内野ゴロが多かった。つまり、結果はともかく、藤田対策が徹底されていた証だ。土居は悔しさを口にする。

「いつも以上に上から叩くイメージで、低い打球を打とう、と。それはチームとしての対策でした。内野ゴロが多かったのはよかったと思いますけど、東海大相模さんの守備がすごかった」

 三遊間で好守を連発した日賀琉斗と才田和空。東海大相模の鍛え上げられた守備力が、相手のチャンスの芽を摘むイニングは多かった。

広陵の投手交代。山口から高尾へ(撮影/写真映像部・松永卓也)

 試合中盤に2番手でマウンドに立ち、長短打7本を浴びて失点を重ねた広陵の高尾響が胸の内を明かす。

「監督の中井(哲之)先生には『お前で負けたらしょうがない』と言われて、自分自身は『絶対に勝つ』と思って試合に入ったんですけど……こういう形になってしまい、悔しいです」

 8強一番乗り。そこには、広陵の絶対的エースも肩を落とすほどに投打で圧倒する東海大相模の強さがあった。

試合終了後の広陵の選手たち(撮影/写真映像部・松永卓也)

(佐々木 亨)


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