皇族方は、公務などのために地方や海外を訪問する機会も少なくない。訪れた先で人々とふれあった「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年6月5日に掲載した記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
【写真】キュートで楽しい美智子さまを書いた週刊朝日の64年間
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皇室にゆかりの深い尼門跡寺院などを私的に訪問するため、5月14日から5日間の日程で、京都と奈良を訪れた上皇さまと上皇后美智子さま。おふたりは、念願の葵祭をご覧になるなど、穏やかなひと時を過ごした。京都・奈良を回るおふたりの人気はすさまじく、各地は熱気にあふれ、SNSでは若者による投稿が相次いだ。
「たまたま同志社の前にいたら上皇ご夫妻おってんけど!!」
「上皇様に遭遇!!なんというラッキー」
京都、奈良を訪問した上皇さまと美智子さまの姿は、各地で動画や写真に撮影され、SNSに多数投稿された。手をつないだおふたりが京都駅のエレベーターを降りる場面を撮影した動画の再生回数は、270万回(6月5日現在)にもなった。
上皇さまが集まった人たちに手を振ると歓声が上がる。仲睦まじいおふたりを撮影した動画はたくさん投稿され、「手をつないで素敵」「日本一ほほえましい夫婦」「仲良し夫婦にあこがれる」といった言葉がコメント欄に並んだ。
皇室が好きで、千葉県からおふたりの姿を見に来たという阿部満幹さんは、現地での歓迎ぶりに驚いたと話す。京都市の同志社大学の前で上皇ご夫妻の車列を待っていると、大学からどんどん学生が出てきて、「手を振ってもいいのかな」「失礼ではないかな」などとささやきながら車を待っていたという。
「何時間も前から奉迎しようと道路に並ぶなど、平成の現役の天皇、皇后でいらしたときを思い起こさせる熱狂ぶりでした。特に10代、20代の若者が興奮や感激の感情を素直に出してお出迎えをしていることに驚きました」
生真面目なプロポーズ
若い世代が好感を抱いたのは、歳月を重ねても手をつなぎ、互いに寄り添うおふたりの姿だ。
軽井沢で運命の出会いを果たしたおふたりの恋愛物語は、誰もが知るエピソードだろう。
だが当時、上皇さまのお妃選びを取材した朝日新聞記者の故・佐伯晋さんは筆者に、こんなことを話していた。世間では皇太子さま(上皇さま)が美智子さまを熱心に口説いた純愛物語の印象が強かったが、自分の取材ではすこし違うのだ、と。