小松は「自分のピッチングのせいで負けた」と言い、流れを持ってくるピッチングができなかったことを最後まで悔いるのだ。
花巻東は7月25日の岩手大会決勝から試合間隔があいて初戦を迎えた。かたや滋賀学園は、開幕戦で勝利して今大会2試合目である。試合勘の差は、多少なりともあったか。49代表となった1978年以降で組み合わせ抽選時に相手が決まらない「しんがり登場校」の初戦の勝率は2割台。この夏、2年連続12回目の出場となった花巻東ですら、歴史の「流れ」に呑み込まれ、分の悪さを払拭することができなかった。それでも、主将の村上太一は気丈に言った。
「昨年秋の県大会は1回戦で負けて甲子園すら見えていなかった。それでも頼もしい後輩も加わって、全学年でまとまって甲子園でプレーできたことはよかった」
初戦敗退の経験を「無駄にはしてほしくない」とも言い、未来を見つめる。花巻東の出世番号である背番号17をつけて4番に座った1年生の古城大翔は言う。
「まだまだ未熟。もっともっと自分に厳しく、練習でも意識を高めてやっていきたい」
夜の甲子園で、再び聖地に戻ってくることを誓った。
(佐々木 亨)
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