2024年、夏。今年も甲子園で高校球児たちの熱戦が繰り広げられている。第106回全国高校野球選手権大会の名シーン、名勝負を振り返る。今回は、8月13日の花巻東(岩手)-滋賀学園(滋賀)について。

【写真】3回、花巻東の主将・村上太一

1回、花巻東・千葉(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 延長11回のタイブレークにもつれた第3試合を待って、49代表最後の登場となった花巻東(岩手)の初戦が始まったのは17時23分だった。

 夕刻のマウンドで、花巻東の背番号1が足場をならす。岩手大会でわずか5イニングスの登板だった小松龍一は、先頭打者を148キロのストレートでセンターフライに討ち取った。滋賀学園の2番・国仲優星を迎え、初球に自己最速となる150キロをマークする中で空振り三振を奪う。四球を挟んで後続を討ち取り、1回表を無失点に抑えた。捕手の千葉爽聖が証言する。

「ブルペンでも真っすぐが良くて、小松の調子自体はよかった」

 だが、2回表に自身のバント処理のミスもありながらピンチを広げると、5安打を浴びて3点を失う。3回表からは左腕の葛西陸だ。2イニングスを無失点に抑えたが、5回表に長短打4本を食らって2失点。8強だった昨夏の甲子園を経験している2枚看板ですら、滋賀学園の勢いを食い止めることができなかった。

 一方の攻撃陣は、チャンスを築くも走塁ミスもありながら無得点のイニングを続ける。「逆転の花巻東」のチームカラーが薄れるほどに、試合展開は重苦しい。試合後、花巻東の佐々木洋監督は言った。

「流れを掴めないままに終わった」

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