ASのデュエット比嘉もえ&佐藤友花は総合8位でメダルに届かず(ロイター/アフロ)
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 パリ五輪のアーティスティックスイミング(以下AS)のデュエットに出場した日本代表、比嘉もえ&佐藤友花は、総合8位だった。

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 チームを5位という結果で終え、中一日で迎えたデュエット・テクニカルルーティン(以下TR)。7番目に登場した比嘉&佐藤は、「Cool Japan」をテーマにしたルーティンを泳いだ。

 ASのルールについては2023年に大幅な改正が行われ、DD(degree of difficulty、難易度)が勝敗を大きく左右するようになった。試合前に、技を実施する順序とDDを記入したコーチカードを提出。DDが低い構成だと勝負出来ない反面、本番で申告通りに実施できていないと判断されると、DDはベースマーク(最低難易率)となり、大きく点数を失うことになる。

 比嘉&佐藤は、TRの採点で申告通りのDDを獲得。257.3533というスコアを確認した2人の笑顔には、達成感が感じられた。日本はTR6位、メダル圏内の3位・オランダとの差は7.3533という位置で、翌日のフリールーティン(以下FR)を迎えることになった。

 比嘉&佐藤のFRのテーマは「ペガサス」。8番目に登場した2人は勢いよく泳いだが、申告したDD56.700は一部ベースマークとなり、採点後のDDは 51.050。減点は、後半の脚技で振り付けを間違えたことが原因だった。DDを上げるため、試合の間際まで振付の変更を強いられることから発生したミスかもしれない。FRのスコアは249.7271で、FRだけの順位は10位だった。

 デュエットの金メダルは中国、銀メダルはイギリス、銅メダルはオランダが獲得した。イギリスとオランダは、チームには出場していない。一方、チームの銀メダリスト・アメリカはデュエットでは10位、チームの銅メダリスト・スペインはデュエットでは7位だった。

 2021年に行われた東京五輪を振り返ると、デュエット・チームともに金メダリストはロシア・オリンピック委員会、銀メダリストは中国、銅メダリストはウクライナだった。新ルール下で行われ、高いDDを構成に組み込むことが必要になった今回の五輪では、各競技の専門性が高まり、デュエットとチームの両方で好成績を挙げることが難しくなったのかもしれない。

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4年後に向け“突き付けられた難題”