これは下半身切断怪談と関係しているのではないだろうか。この怪談は設定上、厳寒地域でなければ成立しないので、たいてい北海道が舞台となる。また上半身のみの少女が這いずるイメージが、すこぶるテケテケと共通しているからだ。

 北海道という土地はアイヌ伝承を除けば怪談の歴史が乏しい。そのため戦後になってオリジナルの怪談・都市伝説が多数発生したのではないか、と私はにらんでいる。それらの多くは、昔ながらの情緒ある怪談ではなく、陰惨で暴力性あふれる現代的な都市伝説として広まった。テケテケしかり、下半身切断怪談しかり。

著者プロフィールを見る
吉田悠軌

吉田悠軌

よしだ・ゆうき/作家。怪談・都市伝説研究家。早稲田大学卒業後、ライター・ 編集活動。怪談サークル「とうもろこしの会」の会長をつとめ、 オカルトや怪談の研究をライフワークとする。実話怪談の語り手としてイベントやメディアに出演するほか、テレビ番組「クレイジージャーニー」では禁足地や信仰文化を案内している。「ムー」にて実話怪談、都市伝説の考察記事をレギュラー執筆する。

吉田悠軌の記事一覧はこちら