相手の「魅力」に気づいて、ネタにする

 では、具体的にどうやってポジティブポイントを見つければよいでしょうか。人の魅力、それは、他の人と違っている部分に潜んでいます。まずは、相手を「観察」することなんですが、その際、コツがあります。それは、相手の「特徴」と「魅力」とを、セットで観察するということです。たとえば、こんなふうに考えます。

(特徴)高級なボールペンを持っている→(魅力)文具好きでこだわりの人
(特徴)大きなカバンを持っている→(魅力)いざというときの備えがある慎重派
(特徴)薄着だ→(魅力)体が強くて風邪をひかない
(特徴)派手なメガネをかけている→(魅力)自己アピールが上手

「魅力」の部分は、あなたにとっての魅力なので、想像でかまいません。話の上手い人は、相手をよく観察し、ほかの人との違いを的確に把握する力に長けています。そして、見つけた魅力を、最初のひと言に表現して話しかけているのです。

 たとえば、相手が明らかに個性的なメガネをかけていた場合。「素敵なメガネですねぇ。そういうの、どこで買うんですか? 私もそろそろ、メガネフレームを変えようと思っていて……」と、特徴的なメガネをネタにして、質問にまでもっていく。相手はメガネにはこだわりがあるはずですから、悪い気はしないはず。買ったお店を教えてくれるはずです。

電車やお店の中で「観察グセ」をつける

 しかし、最初のうちは、メガネに気づいても、関連する質問までもっていくのは、ハードルが高いかもしれません。まずは、「人の魅力に敏感になる」練習をしましょう。

 電車に乗ったときや、お店の中で、周りの人を見て、

「この人と、ほかの人との違いはなんだろう」
「この人の、こだわりポイントはどこだろう」

 と考えてみてください。正解はありませんから、あなたの気づいたままでよいし、むしろ、想像を交えてでかまいません。

「ほかの人に比べて薄着だな。新しい季節に敏感なんだろうな」
「グリーンの手帳、そういえばシャツもグリーン。好きな色なんだろうな」

 と、あれこれ思い巡らす。

 人を観察する力をつけると、人に興味を持てるようになる。くり返し練習していけば、自然と人の個性やこだわりが見えてくるはずです。

 この経験を積むと、相手が「あ、そこを突いてきてくれたんだ。うれしいな。そう、そこにこだわってるのよ」と言ってくれるポジティブポイントを、すばやく見つけることができるようになります。

(ひきた よしあき コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター)