登板後、熱中症で治療を受けた西武の高橋光成

「ドームの概念を打ち破る」と公式サイト

 西武ドームは、国内5球場目のドーム球場として1999年に完成した。すでにあった球場に、屋根を架設するという変則的な「ドーム球場」だった。株式会社西武ライオンズのオフィサルサイトでは、球場について以下のように紹介されている。

「狭山丘陵の中の自然豊かな環境にあるドーム球場。1979年から西武ライオンズの本拠地球場として球史に残る名勝負が繰り広げられた球場です。1997年オフ~1998年オフにかけてドーム化工事を行い、既存の野球場にそのまま屋根を架けるという、世界で初めての工事を行い、1999年、日本で5番目のドーム球場は『屋内屋外中間型』というこれまでのドーム球場の概念を打ち破る、新しいコンセプトのもとに誕生しました」

 ドーム球場完成から25年の月日が経ったが、選手や試合を観戦する観客の評判が良いとは言えない。ドームといっても密閉されているわけでなく、屋根を支柱で支えている形状のため、支柱の間から屋外の風や雨が吹き込んでくる。風が強いとドームでありながら観客が傘をさして観戦する時もある。夏場は周囲の森林から蚊や蜂などがグラウンドに入り込み、選手が集中できずに試合が止まることが珍しくない。

 そして、一番の問題は空調がまったく利かないことだ。屋外から風が吹き込むとはいえ、山を切り崩した窪地のような場所にすり鉢状の球場があるため空気がグラウンド内にこもりやすく、夏場は時間の経過とともに暑さが増していく。一方でシーズン終盤の10月は屋外から冷たい山風が吹き、観戦するファンが寒さに震えることも多い。防寒具を着込めば寒さはしのげるが、暑さ対策には限界がある。

 他球団のトレーナーはこう分析する。

「屋外球場なら風が外に抜けるんですけど、ベルーナドームは空気が充満しているので暑さの感覚が違います。換気の悪い体育館で熱中症になるケースと似ていますね。湿気も凄いので、日差しがさえぎられても汗が止まらず水分を奪われます。夏場でなくても、ベルーナドームで登板する投手には汗を含んだアンダーシャツをこまめに替え、イニング間は涼しい場所で水分補給を取ることをチーム全体で徹底しています」

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