鈴木涼美さん
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 作家・鈴木涼美さんの連載「涼美ネエサンの(特に役に立たない)オンナのお悩み道場」。本日お越しいただいた、悩めるオンナは……。

【写真】セクシーすぎる!鈴木さんのキャバドレス姿

Q. 【vol.20】自分を心から好きになってくれた男性の魅力に気づけず、後悔するワタシ(30代女性/ハンドルネーム「ゆかり」)

 私は20代後半まで、自分を大切にしてくれる優しい男性のことは好きになれず、かつて暴力的だった自分の父親に似たいわゆるクズな男に何度もハマっては痛い目に遭ってきました。原因は幼少期の家庭環境からくる自己嫌悪や自分の環境に対するコンプレックスだと反省し、向き合い続けて10年。少しずつクズ男に魅力を感じづらくなり、自分を大切にすることを覚え、自分を本当に好いてくれる優しい人のことが好きになりはじめた時、大学で哲学を教えている男性に「今は非常勤という不安定な立場なので、仕事が安定できるまで友達でいてほしい」と言われ、その後LINEの返事がなく落ち込んでいます。

 その人は私がクズ男にハマっている間、好意を寄せてくれていた人だったので、なんでもっと早くその人の魅力に気づけなかったのかとショックが大きく自分を責めてしまいます。もう一度自分から連絡を取って友達としてやり直したいと思いつつも、直感的に何だかいけないことのようにも思ってしまいます。次の出会いに希望を持ったほうがいいのでしょうか?

A. 自分が相手をなめている時、相手もまた自分をなめているかも。

 めちゃくちゃ気持ちが分かるお便りでした。私もまた自分を大切にしてくれる優しくて手ごろなBくんを差し置いて、自分を愛してくれるかは分からない刺激的で魅力的なAくんに心をときめかせる青春時代を送り、気づいた時には安全パイと思っていたBくんに愛想をつかされていたという経験が思い当たります。その頃にはBくんは、私がなかなか気づくことのなかった彼自身の魅力をちゃんと分かってくれる相手を見つけて、鈍い私のことなど青春の一ページとして心にしまい、とっくに幸福になっているわけです。

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鈴木涼美

鈴木涼美

1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学在学中にAV女優としてデビューし、キャバクラなどで働きつつ、東京大学大学院修士課程を修了。日本経済新聞社で5年半勤務した後、フリーの文筆家に転身。恋愛コラムやエッセイなど活躍の幅を広げる中、小説第一作の『ギフテッド』、第二作の『グレイスレス』は、芥川賞候補に選出された。著書に、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』『非・絶滅男女図鑑 男はホントに話を聞かないし、女も頑固に地図は読まない』など。近著は、源氏物語を題材にした小説『YUKARI』

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クズ男の魅力は色あせる