今回の2本の番組以外でテレビに出たこともあるし、『Adoのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティを務めたこともあった。そこではプライベートのことも赤裸々に語っていた。

 また、2作目のオリジナルアルバム『残夢』の発売を記念して、大きなボックスの中にAdoが入り、参加者に手を入れてもらう形で姿を見せずに握手会を行うことも発表された。姿は見せたくないがファンサービスはしたいという彼女のプロ意識が、このような特殊な形式のイベントに結実したのだ。

 歌い手である彼女の商売道具は歌そのもの。それを多くの人に届けるためなら、容姿以外のものは何でも使う。ここまで見ていくと、Adoが頑なに顔出しを拒否するのには、小手先の戦略を超えた強い意志を感じるし、その強さが歌を通して伝わってくる。それこそがAdoという稀代の天才シンガーの本当の魅力なのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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