土砂が住宅などに流れ込んだ現場。右の15階建てマンションの8階付近にも倒木が飛び込んている

「松山市からは説明もない」

 被害に遭ったマンションは1998年に建設された。当時の松山市の分譲マンションとしては珍しい高層の15階建てで、総戸数66戸。

「松山城の緑がベランダから一望できる市の中心部で、近くに幹線道路があって買い物や病院に通うには便利で、その割に静かです。新築時の価格は3000万円以上で、東京などの都会とは違い分譲マンションがあまりない松山市では高級マンションでした。土砂崩れの直前も、売り物件が出ればすぐに埋まっていました」(Aさん)

 今はマンションの貯水槽が土砂で流され、水が使えなくなったので、Aさんは毎日20リットル入りタンク4つを部屋まで運び、生活している。だが、高齢の住民の中には、猛暑の中で水を運ぶのは大変だと、ホテル住まいをしている人もいるという。

 Aさんは、松山市についての不満も口にする。

「豪雨による土砂崩れ災害ですが、松山市の管理や対策が不十分だった『人災』だという声が日増しに高まっている。今年のお正月には能登半島地震、2011年には東日本大震災など広範囲で大きな災害があって、自治体が対応をしています。でも、今回の土砂崩れの被害は極めて限定された場所ですよ。にもかかわらず、松山市からは安否確認も説明もなく、野志(克仁)市長は記者会見も数回しただけ。マンションの管理会社は時々電話などで連絡をくれるから、こちらのほうがまだ頼りになる」

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住民は「危険性を指摘していた」