松山城の天守。城の足元で土砂崩れ災害が発生した
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 愛媛県松山市の中心部、松山城がある勝山(132メートル)で7月12日に大規模な土砂崩れが発生してから3週間が過ぎた。中止されていた松山城の天守の公開は7月31日に再開したが、土砂が流れ込んだ住宅やマンションの復旧は終わっていない。住民の間では「被害は予想できた。人災ではないか」という声が高まっている。

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 この土砂崩れでは、木造住宅が巻き込まれて住民3人が亡くなったほか、隣接するマンションが大きな被害を受けた。マンション高層階のベランダにまで倒木が飛び込み、土砂や倒木が立体式駐車場や車を押しつぶしているニュース映像は、全国に衝撃を与えた。

 このマンションに住むAさんが証言する。

「すさまじい雨音で夜もなかなか眠れなかった。午前4時前に地鳴りのようなごおーっという音と揺れで目が覚めた。気づくと部屋の中に割れたガラスが飛び散り、電気もつかず真っ暗で何が起こったかわからなかった。廊下に出ると、『松山城の山が崩れた』という声がして、土砂崩れだとわかった。周囲には土とガスのにおいが充満していた。危険だ、と逃げた」

 マンションの住民たちは、近くの公民館などに避難したという。その後も土砂崩れが午前4時20分ごろ、4時56分ごろと繰り返し襲ってきて、警戒にあたっていた消防車まで流されたという。

「一緒に逃げたマンションの人は、『ベランダの窓ガラスを突き破って大きな木や土砂が家の中に入ってきた。命からがら逃げてきた』と言ってました」
 と、Aさんは恐怖の体験を振り返る。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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被災したのは「松山市では高級マンション」