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「道路の危険性を指摘していた」
別の住民Bさんは、松山城がある勝山付近を散歩するのが日課だった。Bさんは、山が崩れる危険性を、市などに指摘してきたという。
「今回崩落した緊急車両用の道路には1年ほど前からひび割れや傾きがあり、心配でした。松山市にも、松山城の天守閣のスタッフにも危険性を指摘しました。その時対応してくれていれば」
昨年7月、豪雨のため松山城周辺の緊急車両用道路が傾き、松山市も工事を検討してきた。だが、実際に工事に着手したのは、1年後の今年7月だった。
危険性がわかっていながら、雨が多くなるこの季節まで対策がされてこなかったため、Bさんのように「もっと早く対応できたのでは」「人災ではないか」という不満が住民から噴き出ているのだ。
昨年の計画では「早期に取り掛かる必要」
そもそも松山市は、近年の豪雨によって勝山で斜面の崩壊や倒木が発生していることを認識し、昨年10月、「史跡松山城跡樹木管理計画」を策定していた。
この管理計画では、これまでの気候や樹木について次のように分析している。
〈平成22(2010)年以降、記録的な集中豪雨により勝山の各所で斜面崩壊が起こっており(略)、被害が深刻化している〉
〈万が一敷地境界付近において倒木化した場合、敷地外へ影響を及ぼす可能性のある倒木リスク木が(略)、ほぼ全周にわたって分布している〉
そして、結論にあたる「樹木管理計画」の「防災・減災に関する留意点」には、こう記されている。
〈土砂災害や倒木が起こった場合は、周辺住民に危害が及ぶ可能性が高い〉
〈一定以上の降雨があった場合は、表面流が発生し、斜面崩壊が起こりやすい環境であることが判明している。したがって、北側林縁と林内は、人命保護の観点から早期に取り掛かる必要がある〉
今回、土砂崩れが起きたのは、まさに指摘されていた勝山の北側林縁だった。
ではなぜ、危険性が認識されながら、対策が進まなかったのか。
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