土砂崩れ現場では復旧作業が続く

マンションの再建にも問題山積

 Aさんら住民にとって、今後のマンションの再建も大きな問題だ。

 マンションの中でも、被害が大きかったのは、土砂崩れ現場に近い西側で、特に2階から5階にかけてだった。高層の住民の中にはマンションに戻って生活を始めている人もいる。だが、立体駐車場や貯水槽などマンション共用部分は壊れたままで、甚大な被害が残っている。

 国は自然災害で被災した住宅について「災害の被害認定基準」を設け、損害の割合によって、50%以上は全壊、40%以上50%未満は大規模半壊など、基準を設け、補償や支援金の金額などを定めている。

 マンションの場合は、
〈1棟全体で判定し、その判定結果をもって各住戸の被害として認定します。ただし、各住戸間で明らかに被害程度が異なる場合は、住戸ごとに判定し認定することも必要になります〉
 と定められている。

 松山市によると、「第1次調査はマンション全体で、2次では希望で部屋ごとの調査をして、結果は住民の方にお伝えしている」とのこと。

 Aさんは言う。

「マンション全体の被害は大きいが、部屋ごとにみるとかなり被害の差がある。半壊の人もいれば、一部損壊としか認められず、不満をいう住民もいる。ベランダや部屋まで土砂が流入している部屋があるが、3階の部屋に土砂が入った場合、2階や4階にも影響する可能性がある。それにマンションの基礎部分は大丈夫なのかと不安になる。被害が軽い重いなど、これから住民の間で負担割合などでもめないかも心配です。マンション住まいはいい面もたくさんあるが、こういうとき、それぞれの事情で意見が分かれますから大変だ。公的支援も期待している」

 土砂崩れに襲われたマンションの復旧には、まだ時間がかかりそうだ。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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