では広瀬氏はどうなのか。夫妻そろって弁護士。さらに参院議員として歳費などの収入もあり、世間的には経済的な困難さはないはずだ。

 にもかかわらず、妙な違和感があるのは否定できない。22年の初当選以降、ホームページなどでは国際的な問題に取り組む弁護士としてのキャリアを強調しているが、昨年7月の自民党女性局のパリ研修旅行に参加したときにはSNSにフルコースと思われる豪華ディナーの写真をあげて批判をあびた。

 また昨年10月には地元紙の岩手日報から取材を受け、紙面では「スケジュールが『夜までびっしり』の日々を送る」「取材した日、昼食にありついたのは午後3時」と超多忙ぶりが強調されたが、ちょうどこの頃にカナダ人のサクソフォン演奏者と密会。翌年2月に週刊新潮に報じられている。

「参議院議員会館の喫茶店にて。岩手日報の取材でした!」(本人インスタグラムから)

 自民党はそのような広瀬氏をすっかり持て余したのだろう。東京地検特捜部の家宅捜索が行われた30日夜に離党に向けた動きが報じられ、広瀬氏は離党した。

 自民党の茂木敏充幹事長は広瀬氏に「説明を求める」と述べたが、自民党はいまさら離党者に対して何の強制もできないため、それは単なるポーズにすぎないのではないか。しかしそのような無責任さは、国民にとっていったいどれだけ無駄になっているのか――。

 洋上風力発電事業をめぐる汚職事件で受託収賄罪で起訴された秋本真利衆院議員にしても、4800万円以上の派閥のパーティー券のキックバックを受けて政治資金規正法違反の罪で起訴された池田佳隆衆院議員にしても、自民党を離党・除名となったが議席を有したままで、裁判が確定するまでは多額の歳費や期末手当が支払われている。

 そもそも彼らが国会議員になれたのは、「自民党公認」というお墨付きがあったためだが、その“製造者責任”を放棄して“野に放つ”のはいかがなものか。

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